島根大学医学部附属病院は、島根県唯一の特定機能病院として、高度・先進医療の提供、医学教育・研究の推進、そして地域医療を支える「最後の砦」としての使命を担っています。しかし、人口減少や少子高齢化、医師の働き方改革など、医療を取り巻く環境は大きく変化し、大学病院に求められる役割も、病院完結型医療から地域全体を支える医療へと大きく変わりつつあります。
私たちが最も大切にしているのは、患者さん一人ひとりに真摯に向き合う「偽りのない医療」です。それは、科学的根拠に基づいた安全で質の高い医療を提供するだけではありません。患者さんやご家族との信頼を礎に、その人にとって最善の医療を誠実に追求する姿勢です。そして、その積み重ねから新たな医療技術や診断・治療法、さらには地域医療の新しい仕組みを創造する「生まれ出づる医療」へと発展させることこそ、大学病院の果たすべき使命であると考えています。
本院では、文部科学省「大学病院機能強化推進事業」に採択された『「街の中にいつも大学病院」をテーマとした「知と地」の連携による大学病院の構造転換』を推進してまいります。病院長ガバナンスのもと、医療DXやタスク・シフト/シェアを積極的に進め、「個別最適」から「全体最適」への転換を図りながら、診療・教育・研究を有機的に結び付け、新たな知を地域へ還元する大学病院を目指しています。高度急性期医療の充実に向けては、ロボット支援手術の質と安全性を高めるロボット手術管理部、新興感染症への迅速かつ高度な対応を担う総合感染症センター、さらに高齢化に伴い増加する重症心不全や弁膜症などに対して内科・外科が一体となった集学的診療を行う心疾患イノベーションセンターを中心に、診療科横断型の高度医療体制を強化しています。これらは、高度医療の提供だけでなく、医療安全の向上と次世代医療人の育成を支える本院の新たな基盤です。
また、高齢化社会では、救急医療を充実させるだけでは十分ではありません。本院では、地域の医療機関や介護施設、行政との連携をさらに強化し、遠隔医療や医療DXを活用した前方支援による重症化予防と、急性期治療後の円滑な地域移行を支える後方支援を一体的に推進してまいります。高度急性期病院としての機能を維持しながら、「攻めの予防医療」を実践し、地域全体で高齢者救急を支える新たな医療提供体制の構築に取り組んで行きたいと考えています。
これからも私たちは、「知識から叡智へ、地域から未来へ」の理念のもと、「街の中にいつも大学病院」を実践し、診療・教育・研究を通じて地域社会に貢献してまいります。
「偽りのない医療から、生まれ出づる医療へ」・・・この理念を変わることのない原点として、一人ひとりの患者さんに寄り添い、新たな医療を創造し、地域とともに未来を切り拓く大学病院であり続けます。 どうぞこれからもよろしくお願い申し上げます。

島根大学医学部附属病院長
島根大学理事(医療担当)
